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性行為以外の感染には、母子感染や輸血による感染、薬害エイズなどがありますが、今回はさらにそれ以外の、日常生活での感染の可能性について特集します。

セックス以外でうつるの?
HIV(エイズウイルス)は感染者の血液、精液、膣分泌液に大量に含まれています。それらの体液がセックスなどの密接な接触により傷口や粘膜から感染します。同じ体液でも汗や唾液にはごく少量しか含まれていないので、そこから感染することはありません。
また、HIVには強い感染力はなく、空気中、水の中や食べ物の中などで生存することはできません。要するに、通常の生活の中では知らない間にHIVに感染することはないと考えてよいと思います。

ピアスやタトゥーは大丈夫? トイレやお風呂は?
日常生活の中では、他人と同じものを共有していたり、知らないうちに人が使ったものを後から使っていることもあります。STD研究所にも多くのご質問をいただきますが、具体的にどういった場合にHIV感染の可能性があるのでしょうか。
以下に気をつけなければいけないことや気になる事例を紹介します。

■ピアス
ピアスの穴開け機については、医療機関で使用する器具は消毒済みであり、針は使い捨てのものが使われているので、感染する可能性はありません。しかし、医療機関以外で消毒が行われていない穴開け機や針を使いまわしした場合は感染の可能性があります。
ピアスをお店で試着する場合は、ピアス自体に明らかに血液などが付着していることがなければ感染することはありません。また、汗では感染しません。

■タトゥー(刺青)
使用する用具の消毒が行われていない場合は、感染の可能性があります。その場合は、HIVだけでなくB型肝炎やC型肝炎などの感染の危険もあります。
用具を次の客にそのまま使うことがなく確実に消毒されているか、または使い捨ての用具を使用していれば感染することはありません。必ず確認するようにしてください。

■歯ブラシやひげそり
歯ブラシやひげそりを共用する場合は注意してください。使用する前に明らかに血液などの体液が付着していない限りHIVに感染する可能性はありませんが、血液がつくかもしれないものは他の感染症の危険もありますので、できるだけ共用しないようにしましょう。

■トイレ
トイレで便座を共用しても、便座に血液や精液や膣分泌液が乾かない状態で付着していて、なおかつ便座に座ったときにその体液が傷口に触れない限りは感染する可能性はありません。大量にそのようなものが付着した便座に座ることは現実的には考えにくいと思います。
トイレで用を足した時のはね返りのしぶきが性器の粘膜にあたることがあっても、HIVは水洗の水で薄まっており感染力がなくなっていますので問題ありません。

■飲み物や食べ物
同じコップで回し飲みをしたり、同じお皿のものを食べることがあっても、唾液にHIVはごく少量しか含まれていませんので感染することはありません。

■お風呂やプール
HIVは感染力が弱いので、お湯や水で薄まってしまい感染することはありません。また、HIVは人の細胞の中でしか生きていけないので、大量の水に溶け込んだまま感染力を保ち続けることは不可能です。

■洗濯
HIV感染者の血液などが付着している衣類を洗濯機で洗っても、大量の水を使いますのでそこから感染することはありません。大量に血液・精液・膣分泌液などが付着している場合は塩素系漂白剤を使うようにしましょう。

■スポーツ
HIV感染者とスポーツをすることがあっても汗などから感染することはありません。ただ、格闘技などの激しいスポーツで感染者が出血し、その血液が傷口や目や口の中の粘膜に付着したり、大量に血液を浴びることがあれば感染する可能性があるので、きちんと止血してから競技を再開することが大切です。

■蚊
蚊にさされて感染することはありません。HIVは蚊の体内の消化液により感染力をなくしてしまいます。仮に感染力があっても蚊の体内の血液は微量のため感染できる量には足りません。
※日本脳炎やマラリアなどは蚊の体内で大量に増殖するため、蚊による感染があります。

■麻薬
麻薬を使用することがよいか悪いかは別として、注射針の共用は絶対に行わないで下さい。感染の可能性が高いものとして世界的に問題となっています。また、注射針の使いまわしをしなくても、麻薬による興奮作用などで判断力が鈍ると、コンドームを使用せず、感染の危険性のあるセックスを行う可能性がとても高くなります。

■理髪店、美容院や鍼灸院など
理髪店や美容院などでは、法律で用具などの消毒について義務つけられていますので、他人の血液が明らかに付着しているかみそりを次の人に使用することはありえないと思われます。鍼灸院についても同様、鍼(はり)などの用具や手指の消毒は法律で義務づけられています。最近は使い捨ての用具を使用するところもでてきています。もし不安な場合は消毒方法をご確認されるのも一つの方法です。

つまりHIV感染の条件は?
HIVは感染している人の体液に含まれていますが、人に感染させるだけの量のHIVが含まれているのは、血液、精液、膣分泌液、母乳、この4つです。ただし、母乳に関しては、身体の免疫機能がまだ大人のように発達していない赤ちゃんが、(主食として)大量に飲むため、感染源となり得ますが、通常は、血液、精液、膣分泌液の3つが感染源と考えてください。
人間の皮膚は通常、身体を守るバリアや鎧(よろい)のような役割を果たしているので、健康な皮膚に、HIVを含む血液が多少付着した程度ではうつりません。しかし、大きな傷口や粘膜(男性の尿道口付近、女性の膣周辺、口の中、肛門や直腸の粘膜など)には、皮膚というバリアがないため、HIVが感染しやすくなるのです。性行為の時のコンドームは、接触する粘膜部分にバリアをかけてあげるということなのです。
ちなみに、HIVは人間の体内にもとから存在するものではありませんので、感染している人の血液、精液、膣分泌液への接触がなけれなければ問題ありません。
日本でもHIV感染者が増加しているという現実がありますが、HIVに感染する機会というのは実は非常に限られていますので、「何で感染するのか」という基本を理解しておくことが大事です。そうすればいたずらに怖がることなく、基本を応用してどうすれば予防できるかが判断できるようになると思います。
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